クラスター爆弾モニター 2011 日本語訳



2009-2010年の注目点

<地雷の使用>
  • ミャンマーが国家として唯一対人地雷を使用した。また、6カ国(アフガニスタン、コロンビア、インド、ミャンマー、パキスタン、イエメン)で非国家武装集団が対人地雷を使用した。
  • 1999年に第1回目の『ランドマインモニター報告書』が発表されて以降、最も対人地雷使用の報告例が少ない年となった。また、ロシアによる対人地雷の使用が初めて確認されない年でもある。
<地雷の製造>
  • インド、ミャンマー、パキスタンの3カ国が地雷の製造を行なった。
<貯蔵地雷の廃棄>
  • ウクライナが2010年6月の廃棄期限内に廃棄を完了しなかった。これは条約違反に当たる。
<被害者・サバイバー>
  • 地雷・不発弾による2009年の新たな被害者数は3,956人に上る。この数字は1999年以降、最も少なく、2008年より28%減少した。なお、依然としてデータ収集が困難な国があり、実際の被害者数は3,956人より多いとみられる。
<地雷除去・不発弾処理>
  • 6カ国が2009年以降、期限内の除去を完了した。一方で、22カ国が除去期限の延長を申請した。特にベネズエラは約10年前に条約を批准して以降、除去を開始していない。
  • 66カ国および7つの地域で地雷の埋設が確認されている、あるいは地雷の埋設が疑われている。地雷被害国の数は、前年より3カ国減少した。
  • 198平方キロメートルの地雷原が除去された。2009年は、1999年以降、最も除去が進んだ年であった。
  • 除去された全体の面積のうち、アフガニスタン、カンボジア、クロアチア、イラク、スリランカの5カ国で全体の80%を占める。
<被害者支援>
  • 2009年は被害者支援に関する動きの少ない年であった。
  • 多くの国では依然として被害者の数やニーズに基づいたプログラムが実施されていない。
  • 被害者自身が被害者支援プログラムの実施に参加している国は、地雷被害国全体の半数以下である。
  • 被害者支援に対して拠出を行なったドナー国は15カ国のみであり、地雷対策に拠出された全体の金額の9%(3,800万ドル)に過ぎない。
<国際的な資金援助>
  • 地雷対策に拠出された総額は、6億2,200万ドルである。
  • 33のドナー国が54の被害国に対して4億4,900万ドルの支援を行なった。これは2008年と同じ水準であり、過去3番目に高い。
  • 被害国自身が地雷対策に拠出した総額は、1億7,300万ドルである。この数字は、2008年の1億4,400万ドルから増加している。
  • 拠出額の多い上位5カ国は、額が多い順に、アメリカ、EU委員会、日本、ノルウェー、ドイツである。この5カ国で全体の61%を占める。
  • 受取り額が多い上位5カ国は、額が多い順に、アフガニスタン、イラク、カンボジア、スーダン、スリランカである。この上位5カ国でほぼ半分の額を占める。


日本
(最終更新 : 2011年8月31日)
クラスター爆弾禁止政策

<政策>

 日本は2008年12月3日にクラスター爆弾禁止条約に署名し、2009年7月14日に批准した。条約が発効した2010年8月1日に締約国となった最初の30の国の一つであった。
 日本の国内法第85号(クラスター弾等の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律)は、2009年7月17日に制定された。これはクラスター爆弾の製造と所持を禁止し、日本のクラスター爆弾の備蓄を廃棄することを義務付けた。外務省によれば、クラスター爆弾の使用は爆発物取締法及びその他の法律により禁止されており、移動は外国為替及び外国貿易法で規制されている。
 日本は、最初のクラスター爆弾禁止条約の7条報告書(国連に提出する報告書)を2011年1月27日に提出しており、これは2010年8月1日から2011年1月25日までの期間に対応している。日本は条約をつくったオスロ・プロセスに参加し、2008年のダブリン会議において、その立場を目覚しく進歩させ、条約を採択した。
 日本は2010年11月にラオスのヴィエンチャンで行われたクラスター爆弾禁止条約の最初の締約国会議に出席し、日本の代表団の徳永久志外務大臣政務官(当時)は、日本が2008年に条約に参加して以来、地雷除去と被害者支援に550万ドル以上を提供してきたという声明を出した日本は2011年6月にジュネーブで行われた条約の最初の会期間会合にも出席し、備蓄クラスター爆弾の廃棄を含むいくつかの声明を出した。
 どちらの会議でも、日本は普遍化の分科会でフレンド・オブ・プレジデント(副議長)を務めた。日本は2010年と2011年にも、在外大使館を通じた条約普遍化の取り組みを続けた。彼らは2011年1月の第7回アジア不拡散協議と、欧州安全保障協力機構とNATOの会合で転換策を提示した。日本は第1回締約国会議の議長と共に未署名国に条約に参加するよう勧める共同文書を発行した。日本はさらにベルギー、カナダ、チリ、CMCと協力し、普遍化に取り組んだ。日本の岡田克也外務大臣(当時)は、2010年8月1日に条約が発効することを歓迎する声明を出した。

<条約の解釈>

 日本は、条約上のいくつかの重要な事項に関する解釈とその運用について、考え方を明らかにしている。政府は、日本国内の米軍基地はアメリカ合衆国の管轄であって日本の領土ではなく、米軍によるクラスター爆弾の保有は国内法や条約に違反するものではないとの立場をとっている(下記のアメリカ合衆国の日本国内におけるクラスター爆弾の章を参照)。さらに政府によれば、法律85号の4条4項は民間人と自衛隊員両方の日本人が、アメリカ合衆国が所有するクラスター爆弾を輸送することを許可しているとしている。 
 2008年5月のダブリンでの交渉では、日本はクラスター爆弾を使用する可能性のある未締約国との相互運用や共同軍事作戦への参加(21条)を強く支持する国の一つだった。日本は、共同軍事作戦時にクラスター爆弾を使用する非締約国への援助を禁止する条項についての議論に消極的であった。2011年6月に行われた会期間会合では、日本は共同軍事作戦におけるクラスター爆弾の使用は「完全な管理の下」にあるとし、「軍事の専門家がいないこの場では21条について議論するべきではない」と警告した。
 2011年6月にウィキリークスによって公表された2007年5月のアメリカ合衆国国務省の電信では、米軍日本副司令官ティモシー・ラーセン少将は「クラスター爆弾の使用は日本の防衛のために不可欠であることを確認し、日本と米軍はその使用についての議論と訓練を共に行い、多くのシナリオでその使用を想定した」とあった。
 2011年6月にウィキリークスによって公表された2008年6月のアメリカ合衆国国務省の電信では、日本の当局幹部が、アメリカ合衆国と日本が軍事的協力とアメリカ合衆国が保有するクラスター爆弾が関与した作戦の指揮は引き続き可能だと条約を解釈し、「非常事態における自衛隊または日本の民間人による米軍が所有するクラスター爆弾の移動と保管、さらなるクラスター爆弾の米軍軍事施設と自衛隊基地への移動、民間の港におけるクラスター爆弾の保管と取り扱い」は制限されないものと話した。
 電信では、「日本の民間人と自衛隊員は日本が法的に所有していない限り、クラスター爆弾の移動をできる」と日本の当局者が確認したことをアメリカ合衆国が報告したとし、「アメリカ合衆国は日本の団体や個人がそれを所有していない限り、クラスター爆弾を日本国内に持ち込んだり持ち出したりすることができる」とした。

<投融資>

 クラスター爆弾の製造に対する投融資の禁止について、2011年6月に日本は、「クラスター爆弾への投資について明確な合意はない」と述べ、投資の禁止に対する問題は「それぞれの締約国の内部での取り決め次第だ」とした。2009年には、政府はクラスター爆弾を製造する企業への日本の金融機関による投融資について調査していないと述べていたが、金融機関に条約について知らせ、それを保って銀行業務を行うよう要求した。
 2010年7月、日本の三大銀行、住友三井フィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャルグループ、みずほ銀行は、クラスター爆弾製造への投融資をやめると発表した。2010年10月、全国銀行協会は会員にクラスター爆弾製造への投融資をやめるよう指導したと発表した。
 2011年1月、JCBLはクラスター爆弾製造への投資が報告された17の金融機関に質問状を送り、三菱UFJモルガン・スタンレー証券と日本生命保険相互会社はクラスター爆弾製造者への投資を止めたと回答、9つの金融機関が投資を継続していると回答、6つの金融機関がクラスター爆弾製造者への投資を否定した。

<通常兵器に関する条約>

 日本は特定通常兵器使用禁止・制限条約(CCW)の締約国だが、不発弾に関する第5議定書を批准していない。日本は2010年から2011年、クラスター爆弾に関するCCWの審議に参加し続けた。日本はクラスター爆弾に関するCCWの継続的な議論を強く支持し、この武器の「主な使用者と生産者の支持」を得ることが必要だと言及した日本は議長案(クラスター爆弾を部分的に禁止しようとする案)を弱める行為(クラスター爆弾を禁止しようとする提案)を批判してきた。2010年9月、透明性レポート(国連へ提出する報告書)を必須の義務ではなく自発的なものに変えようとするブラジルの提案に懸念を示した。2011年2月のCCW会議では、日本とフランスだけが議長案を作業基準として許容できるとして支持する意向を示したクラスター爆弾禁止条約の締約国であった。

<使用、製造、移動>

 日本はクラスター爆弾を使用したことはないが、過去に生産及び輸入していた。国内の生産者は、3つの民間企業(群馬県にあるIHIエアロスペース、石川県にある石川製作所とKOMATSU)である(既に生産中止)。

<備蓄と廃棄>

 日本は2,029,469の爆発性子爆弾を含む14, 011のクラスター爆弾の備蓄を報告している。

日本のクラスター爆弾の備蓄(2011年1月)
数量種類子爆弾の種類と1個当たりの個数
2,232M26及びM26A1ロケット弾M77 (644)
7,329M261ロケット弾M73 (9)
2,702M483A砲弾M42 (64) & M46 (24)
1,748CBU-87爆弾BLU-97 (202)


 さらに、日本は2011年6月、過去にクラスター爆弾の製造者であった北海道美唄市の北海道日油株式会社が76の子爆弾を保有していたが2011年3月に破棄されたことを報告した。
 日本は備蓄クラスター爆弾の廃棄を2018年8月1日までに「可能な限り早く」行わなければならない。これらの備蓄を破棄するための調査は2010年に行われた。この調査結果に従い、日本は備蓄の廃棄をする民間企業と契約するための競争入札プロセスを2011年に公示することにした。備蓄廃棄の方法は契約の内容と廃棄を可能な限り早く完了するための政府の計画に基づいて決められる。日本は、備蓄廃棄のプロセスは安全が保証されるかぎり公にするとした。それは備蓄の廃棄のために約28億円(3200万ドル)を2011年の歳入から確保した。
 日本は訓練、開発、対策目的のためのクラスター爆弾は残さないとしている。

<日本国内におけるアメリカ合衆国所有のクラスター爆弾>

 アメリカ合衆国は在日米軍基地にクラスター爆弾を保有している。外務省は、アメリカ合衆国は日本政府に対して備蓄の種類、数、機能、場所を伝えていないと話している。
 沖縄の地方紙(琉球新報)が、在日米軍が訓練で射爆撃場にクラスター爆弾を投下したと報じた。2010年、琉球新報は米軍の戦闘機にクラスター爆弾が搭載されていると見られる写真を発表した。国会で、日本の外務大臣は政府が米軍に問い合わせたが、「アメリカ合衆国は訓練内容の詳細については明かさない」との返答だったことを報告した。2010年6月、琉球新報は、外務大臣が、日本の管轄下でないためアメリカ合衆国が日本国内の米軍基地でクラスター爆弾を使用、保有することは禁止されていないと発表したと報じた。